私は2021年に函館工業高等専門学校(函館高専)専攻科を卒業しました。在学中から「函館にいながら世界と戦えるエンジニアになりたい」と考えていて、卒業後は上京。D2Cブランドの立ち上げ、法人向けマーケ支援の現場を経て、2024年に株式会社HAKOBUNEを設立しました。
今は東京本社を置きつつ、代表が函館出身という縁で、函館にも事業の拠点を広げています。この記事は、現役の函館高専生、函館に戻ろうか迷っている若手エンジニア、そして地方の経営者に向けて、生成AI時代の地方からの勝ち方を、私自身の経験から書いたものです。
まず数字から:函館高専生の9割が北海道外で就職している
函館高専の公式データを見ると、卒業・修了後の就職・進学率はほぼ100%。そして、就職希望者の8〜9割が北海道外への就職を希望しています。主な就職先は、キヤノン、シャープ、トヨタ、本田技研、パナソニック、NTT東日本、北海道電力など、大手企業が並びます。
つまり、函館高専という環境はすでに「地方にいながら全国で通用する人材を輩出する」設計になっている。この前提はとても大きい。私たちは既に、相当恵まれた場所にいます。
「地方だから不利」は、もはや古い前提
「地方だから情報が入ってこない」「地方だからチャンスがない」——昔はそれが事実でした。でも2026年の今、この前提はかなり崩れています。
生成AIの進化で、情報収集の速度・質が劇的に変わりました。東京のビジネススクールに通わなくても、最新の業界レポートはClaudeやChatGPTが数分で要約してくれます。最先端の英語論文も、AIで日本語解説を読める。これ、10年前なら考えられなかったことです。
過去に地方が不利だった要素——最先端情報、優秀なメンター、プロジェクト経験——の多くは、AIと適切なオンライン環境で半分以上代替可能になりました。
ただし、油断すると一気に引き離される
一方で、地方だからと情報収集を怠ると、あっという間に引き離されます。私が東京に出て最初に感じたのは、情報が流れる速度の圧倒的な違い。同業者が隣のカフェにいるだけで、最新のツール、失敗談、採用情報が自然と耳に入る。地方だと、これが起きません。
だから、地方にいるなら意図的に情報の流れを作りにいく必要があります。SNSでの情報収集、オンラインコミュニティへの参加、東京の勉強会へのオンライン参加。今はこれらが全部、函館からでも同じ条件でできます。
現役函館高専生に伝えたい3つのこと

1. AIをツールとして使い倒す
AIで調べればいい、AIに書かせればいい、を、できる限り早く習慣化してください。教科書を読む速度、コードを書く速度、英語論文を理解する速度、全てAIで加速できます。
私が学生の頃は、わからないコードを読み解くのに何時間もかかっていました。今ならClaudeに貼って「これを高校生でも分かるように説明して」と言えば、数秒で解説してくれる。時間の使い方が根本的に変わります。
2. 何か1つ、作り切って公開する経験を重ねる
Webアプリでも、機械学習モデルでも、SaaSでも、ゲームでも——なんでもいい。完成させて、誰かに使ってもらう経験は、どんな授業よりも力になります。就活でも起業でも、あれ作りましたと言える成果物が1つあるだけで、周りから見える像が変わる。
AIがある今、作るハードルは劇的に下がっています。1人で、週末だけで、サービスを立ち上げられる時代です。やらない手はありません。
3. 函館を拠点にし続ける選択肢を持っておく
私自身は、卒業後に東京に出ました。それは良い選択だったと今でも思いますが、同時に「函館のまま挑戦する」選択肢も、当時よりずっと現実的になっています。
リモートワーク、フリーランス、起業、自分でSaaSを作って売る。どの選択肢も、物理的な場所は問わなくなりました。東京に出ないとチャンスがない、はもう古い常識です。両方の選択肢を持っているだけで、人生の自由度は大きく変わります。
函館の中小企業経営者に伝えたい1つのこと
函館には、AIで解決できる業務課題が山ほど眠っています。でも誰に相談すればいいか分からない、という声もよく聞きます。
そのギャップを埋めるのが、私たちHAKOBUNEの仕事のひとつだと思っています。函館高専OBで地元の事情を知っている立場と、東京で培ったAI開発・マーケコンサルの経験、両方を持っているのが私たちの強みです。
大げさな話ではなくて、「この業務、ChatGPTで半分の時間にならないですかね」レベルの軽いご相談から受けています。気負わずお声がけください。
地方からAIで勝つためのマインドセット
最後に、私自身が日々意識していることを3つだけ。
- 01情報は「来るもの」ではなく「取りに行くもの」——オンラインコミュニティ、ニュースレター、SNSで能動的に接点を作る
- 02作って、小さくても公開する——完璧を待たず、プロトタイプでも世に出す癖をつける
- 03地方の文脈を武器にする——函館の素材、人、歴史、景観は、都会の人が持っていないストーリーの源泉
どれも、特別なスキルはいりません。今日から始められることばかりです。
一緒に函館からAIで挑戦しませんか
HAKOBUNEは、函館からAIで挑戦する人を、一人でも増やしたいという想いで事業を動かしています。
スクールでは学生・主婦・個人事業主が、セミナーでは地元の中小企業が、コンサルでは事業をAIで変えたい経営者が、それぞれの形で関わってくれています。どの入口からでも構いません。気になる事業があればぜひ覗いてみてください。
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著者:今津 遼也(株式会社HAKOBUNE 代表取締役)
