「うちもAIを入れたいんだけど、何から手をつけたらいいか分からなくて——」
函館で中小企業の経営者にお会いすると、月に何度かこの言葉を耳にします。建設業の社長、飲食店のオーナー、不動産業の2代目、水産加工の会社の管理部長。業種はそれぞれ違うのに、入り口の悩みは驚くほど似ています。
この記事は、そういう函館の経営者に向けて書きました。教科書的な「AI導入の成功法則」ではなく、社員10人の会社でも明日から動ける5つのステップとしてまとめています。HAKOBUNEの実際のコンサル現場で使っている言葉に近い温度感でお話しします。
ステップの前に、まず「失敗の型」を知る

成功するパターンは業種ごとに違いますが、失敗するパターンは本当に似ています。これを先に把握しておくだけで、導入の難易度は半分ぐらい下がる、と私は感じています。
失敗の代表例は3つです。
- ①「AIを入れる」ことが目的になってしまい、そもそも何を解きたかったのか分からなくなる
- ② 立派な戦略資料は作ったのに、現場で使われない(コンサルに数百万払って、という話もよく聞きます)
- ③ 流行りのツールを次々契約して、気がついたらサブスク費用だけが積み上がっている
共通しているのは、どれも「導入ありき」で動き出していること。順番が逆なんですよね。本来は「今困っている業務がある」→「それをAIで楽にできないか」という順序で進めるべきなんです。
Step 1: AIの話を、あえてしない時間をつくる
最初のステップは、AIの話をいったん横に置いて、自社の業務について改めて考える時間を作ることです。
教科書的にはSMARTの法則で目標を、みたいな話になるんですが、函館の中小企業にそこまで厳密な目標設定を求めるのは、正直やりすぎだと思っています。それより、紙1枚に以下のようなざっくりした一行を書くほうが実務的です。
ここで時間を入れるのがポイント。数字が入っていないと、3ヶ月後に「よかったのか悪かったのか」が誰にも判断できなくなります。
Step 2: 業務を、手書きで棚卸しする

次に、社内のどこでどんな業務が動いているかを棚卸しします。ExcelでもPowerPointでも構いませんが、最初は紙に手書きすることをおすすめしています。キーボードで打つより、手書きのほうが「あ、こんな業務もあった」と思い出せるんですよ。
書き出すのは次の3つだけ。
- 01毎週・毎月発生する定型業務(月次レポート、見積作成、問い合わせ対応など)
- 02その業務にかかっている大体の時間(分単位でOK)
- 03その業務がアウトプットの品質にどれくらい影響しているか(高・中・低)
棚卸しが終わったら、時間はかかっているけど、品質への影響は中〜低い業務を丸で囲んでください。これがAIと相性の良い業務です。
具体的には、こんな業務が対象になることが多いです。
- 月次売上レポートのまとめ(定型フォーマットへの数字転記)
- 問い合わせメールへの1次返信(質問内容は似通っていて、テンプレ改変で済むもの)
- 会議議事録の整形(録音→要約)
- 商品説明文の下書き(ECサイトの新商品追加など)
- SNS投稿文の作成(Instagram・Facebookなど)
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Step 3: 1業務に絞ってPoCを回す
棚卸しで見つけた筋の良い業務から、1つだけ選んでPoC(Proof of Concept:概念実証)を走らせます。ここで多くの会社があれもこれもと欲張ってしまうんですが、最初は1業務でいいんです。むしろ1業務でないと結果が評価できません。
PoC期間は2〜4週間で区切る
ダラダラやると誰も覚えていないし、プロジェクトの熱量も下がります。2週間で結果が出なければ、設計を見直すか、別の業務に切り替える。これくらいの潔さが大事です。
目標は「完璧」ではなく「30%改善」
80%の自動化を目指して挫折するより、30%の時間削減を確実に取るほうが、組織として次に進みやすいんです。しかも30%って意外と大きくて、月10時間かかる業務なら月3時間浮くわけです。週1時間弱、違うことに使える。
Step 4: 本番導入は「仕組み化」までがセット
PoCでGo判断が出たら、本番導入です。ここで一番怖いのが、最初は盛り上がったのに3ヶ月後には誰も使わなくなる、というパターン。これ、中小企業のAI導入で本当によくあります。
定着させるために、最低限この3つは決めてください。
① 社内ガイドライン(何を入力してはいけないか)
ChatGPT無料版やClaude無料版に、お客様の個人情報や契約内容を入力すると、学習データに使われる可能性があります。ビジネスで使うならTeamプラン以上(月額25〜30ドル/人)に切り替えるのが安心ですが、それでも禁止事項は決めておきましょう。
- お客様の個人情報(氏名・住所・電話・メール)
- 契約書・機密文書
- 未公開の財務情報
- 取引先から預かった機密情報
② 業務フローへの組込
使いたい人が使う状態だと、結局誰も使いません。業務フローの中に「ここでAIを使う」というステップを明示的に入れてください。例えば月次レポート作成手順書の中に「ChatGPTでドラフト生成 → 数字の確認 → 最終仕上げ」というふうに。
③ 月1回の振り返りMTG
使っている人の成功事例、困っている人のつまずきポイント、新しいツールの情報を月1回共有する時間を作ります。15分でも30分でも構いません。これがあるだけで、定着の成功率は体感で2倍以上違います。
Step 5: 横展開で組織全体を変える
1業務でAI活用が定着してきたら、似た業務に横展開します。議事録要約が動いたら、次は営業日報→週報の自動化。月次レポートが動いたら、四半期レビュー資料の自動化。
1業務あたりの改善幅は30%でも、5業務で定着すれば、組織全体の生産性は体感で2割ほど上がります。これがAIで生産性が上がるの実態です。派手なブレークスルーがあるわけではなく、地道な改善の積み上げなんですよね。
函館・北海道の中小企業に特有の詰まりどころ
HAKOBUNEは代表が函館出身ということもあり、北海道・函館の中小企業からのご相談が多いです。地方企業でよく詰まるのは、主に3点。
- 社内にAIを推進できる人がいない(採用も難しい)
- 最新情報のキャッチアップに時間がかかる(東京の勉強会・コミュニティが遠い)
- 東京のコンサル会社は単価が高く、地方中小企業には手が届きにくい
どれも地方だから仕方ないで片付く問題ではなく、解決策があります。オンライン前提のコンサル・研修を組み合わせれば、東京の知見は同じクオリティで函館にも届きます。私たち自身、函館の会社からの問い合わせは全てオンラインで対応しています。
まず何から始めるか
読んでなるほどで終わらせると、1週間後には忘れます。今日できることは1つだけ——Step 1の「目的の1行」を紙に書いてみてください。10分あればできます。
書いてみて「これ、AIで解決できるのかな?」と迷ったら、無料30分相談でご一緒に整理しましょう。HAKOBUNEの代表が直接対応するので、当たり障りのない一般論ではなく、貴社の事情に踏み込んでお話しできます。
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著者:今津 遼也(株式会社HAKOBUNE 代表取締役)
