AI人材戦略

函館でAI人材を採用するより、社員を育てる方が安い理由

函館・北海道の地方都市でAI人材を採用するのは、現実的にかなり難しい。それより既存社員を3ヶ月で「AIを使いこなせる人」に育てる方が、早くて・安くて・定着する——その具体的な進め方を整理します。

函館AI動向9分で読めます
函館でAI人材を採用するより、社員を育てる方が安い理由

「AI人材を採用したいんだけど、函館だと応募が全然ないんですよ」——これは、ここ半年でいちばんよく聞く経営者の嘆きです。

結論から言うと、函館・北海道でAI人材を「採用する」ルートは、現実的にかなり厳しい。それより「既存社員を3ヶ月で育てる」方が、早くて・安くて・定着する——この記事では、その理由と具体的な進め方を整理します。

なぜ函館でAI人材を採用するのが厳しいのか

採用 vs 育成のコスト比較

理由1:母集団が圧倒的に少ない

AI人材と呼べる層の多くは、東京・大阪・福岡・札幌に集中しています。函館に絞ると、函館高専OB+未来大OBの一部、あとは地元のSIerに所属しているエンジニアの限られた層しかいません。

求人媒体(Wantedly、Green、doda、LinkedIn)に出しても、応募が月0〜1件という中小企業がザラにあります。

理由2:採用できても給与競争で負ける

仮に応募があっても、AIエンジニアの給与相場は東京だと年収600〜1,200万円程度(2026年時点の各種求人媒体の公開情報ベース)。函館の中小企業がこの水準を出せるかというと、かなり厳しい会社が多い。結果、「応募はあったけど給与で折り合わなかった」で終わります。

理由3:採用できても半年〜1年で辞めるリスク

運よく採用できても、「もっと成長できる環境に」と東京に転職されるケースが多い。AI人材の転職市場は2026年現在も活発で、地方企業が引き止めるのは本当に大変です。

「育てる」は実は採用よりずっと現実的

社員の成長

一方、「既存社員をAIを使いこなせる人に育てる」ルートは、地方の中小企業に驚くほど向いています。理由は3つ。

理由1:AIは「使いこなし」が大半

AIを「開発」する人材(機械学習エンジニア、MLOps)は確かに希少で高給です。でも、中小企業が必要なのはそこじゃない。ChatGPT・Claude・Gemini・NotebookLM・Zapier といった既存ツールを業務に組み込める「使いこなし人材」です。

この「使いこなし」は、3ヶ月集中して学べば、事務職・営業職・企画職の誰でも身につきます。いわゆる「AIネイティブ」である必要はありません。

理由2:既存社員は業務の詳細を知っている

外部から採用したAIエンジニアが最初にやる仕事は、業務の理解です。これに3〜6ヶ月かかる。一方、既存社員は業務を知っている状態からスタートするので、AIスキルを身につけた瞬間に即戦力化します。

「業務を知ってる人がAIも使える」は、「AIを知ってる人が業務を覚える」より、ずっと速い。

理由3:定着率が桁違い

新しく採用した人は辞めやすい。既存社員は、AIスキルで評価されて給与も上がれば、辞める動機がありません。投資回収の期間が長く見込めます。

コスト比較:採用 vs 育成

具体的な数字で比較してみます(あくまで目安です)。

採用ルート(中途1名)

  • 採用コスト:人材紹介会社フィー(年収の30〜35%)=150〜400万円
  • 年収:600〜1,000万円
  • 入社〜即戦力化まで:3〜6ヶ月
  • 1年間の実質コスト:750〜1,400万円

育成ルート(既存社員3名)

  • 集合研修:3ヶ月プログラム×3名 = 30〜60万円
  • AIツール費:ChatGPT Team(年払い$25/月・月払い$30/月)× 3名 × 12ヶ月 ≒ 月間1万円程度、年間12〜15万円規模
  • 既存給与のまま(育成中の離職リスクも低い)
  • 1年間の追加コスト:50〜80万円

3ヶ月で社員を「AI使いこなせる人」に育てる手順

具体的な育成プログラムのモデルケース。HAKOBUNEで法人研修を設計する際の標準的な構成です。

月1:基礎リテラシー

  • ChatGPT・Claude・Geminiの違いと使い分け
  • プロンプト設計の基礎(目的・文脈・制約)
  • 社内ガイドライン(入力禁止情報、学習除外プラン)
  • 自分の業務で3つAI活用パターンを試す

月2:業務適用

  • 自部門の業務を棚卸し、AIで効く業務を3つ特定
  • 小さなPoC(2週間、1業務)を実施
  • ツール拡張:Notion AI、NotebookLM、Canva AI

月3:自動化・展開

  • Zapierでの簡単な自動化ワークフロー
  • 部内への展開(勉強会開催、マニュアル作成)
  • ROI測定(削減時間・品質向上)
  • 次の3ヶ月の改善計画

誰を育てるか:3タイプから選ぶ

社内の誰をAI担当として育てるかで、成功率が変わります。経験上、以下3タイプから選ぶのが現実的。

タイプA:管理部門の30代若手リーダー

最もおすすめ。業務全体が見えていて、他部門への展開力もある。素直に学ぶ柔軟性も残っている。

タイプB:ITに詳しい次期後継者

ファミリービジネスで、次期経営者候補がいる場合。経営視点でのAI活用を学ぶ機会として最適。

タイプC:社長自身が1人目になる

従業員10人以下の会社なら、まず社長がAIを使い始めて、横に広げる方が早い場合があります。

函館でAI育成を進める3つの選択肢

最後に、函館でAI育成を始める現実的な選択肢を3つ。

  1. 01独学で頑張る:YouTubeとブログで学ぶ。費用ほぼゼロだが、6ヶ月かけても体系化されない人が多い。
  2. 02オンラインAIスクールを使う:個人向けの体系的カリキュラム。月2〜5万円×3ヶ月。
  3. 03法人向け研修を発注する:自社業務に合わせたカスタム研修。半日10万円〜、人材開発支援助成金で最大75%補助。

1社単位で進めるなら、③の法人研修が最も投資対効果が高い。助成金を使えば実質10〜15万円で社員5〜10名を育成できる計算になります。

関連サービス

HAKOBUNEのAI研修・セミナー

函館・北海道の中小企業向け。経営層・部門別・全社員の3階層で設計、人材開発支援助成金の申請サポートもご相談いただけます。

育成か採用か、迷ったら

もちろん、育成ですべて解決するわけではありません。高度な機械学習モデルの開発が必要な会社は、AI人材採用が必須です。でも、生成AIを業務で使いこなすレベルなら、育成で十分以上に足りる。

自社にとってどちらが最適か、判断に迷う場合は無料30分相談で一緒に整理させてください。採用・育成・外部パートナー活用の3択で、最適な組み合わせを提案します。

関連サービス

AI人材戦略の無料30分相談

採用 vs 育成 vs 外部活用のどれが貴社に合うか、業種・規模・予算を踏まえて一緒に整理します。

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著者:今津 遼也株式会社HAKOBUNE 代表取締役

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函館×AI 全景・動向

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